マリはよく私を見ながら笑いを堪えるのに必死な表情を作りました。そして言いました。「貴女の身体を見てると吹き出しそうになるわ!」実際に
顔に向って牛乳を吐きかけられた事もあります!Y様には知的障害がありました。隣町の小学校に行けば擁護学級もありましたが、「そこまで通わせるのは
負担が大きすぎる」「娘にも皆と同じ●小に通う
権利がある!」お母さんは主張したそうです。「
障害のある子とない子が共に学ぶ事によって思いやりや優しい心が学ぶ事が出来る!」Y様をクラスに招き入れた時のマリの台詞を聞いて
私も吹き出しそうになりました!同時に「1日中、何が行われているのか分からない授業を受けさせられる事が、Y様の為になるのか?」疑問に思いました。私は一番後ろの席からY様が授業中に何をしているのか観察して見た事があります。お絵描きに塗り絵、それに飽きると奇声を上げて騒ぎ始めます。Y様が、教室を飛び出して行くと皆で追いかけなければなりませんでした。
Y様は特権階級ですからお掃除を始めとするすべての苦役から免除されました。世渡り上手な女子達はY様の面倒を見るという大義名分があれば自分達も苦役から免れられる事を学習した様です。掃除の時間にY様は椅子の上に上履きのまま立って、ある歌手の物真似をしていました。数人の女子が回りを囲み、手拍子を取って一緒に騒いでいました。教室に入って来たマリは私に向かって雑巾を投げつけました。「Yさんに
窓拭きなんかさせて怪我でもされたらどうするのよ!」(貴女にはあれが窓を拭いている様に見えたのですか?)「ごめんなさいね?今、デカイのと変わらせるから!」(でも、運動神経なら私よりY様の方がいいはずです。駆けっこの時もマリは私に言いました。「
ねえ、誰が歩いていいって言ったの?それとも余分な物ぶら下げてるから走れないとでも言うんじゃないでしょうね?」どうしていつも私ばかりなの?」)「何よ、その目は?不満でもあるの?」「Yちゃん、あの子可笑しいね?」「大体、あんな大きな子が同じクラスにいるのが変だよね?」Yを中心に据えた養育係達は笑っていました。
Y様を特別扱いにするなら自分達も同等の権利があると主張する子ども達も当然の様に出て来ました。
私は時々、「Y様は本当は頭がいいのではないか?」と思った事があります。最初は自分でしていた事も「出来ない」とさえ言えば周りがすべてやってくれる。自分は「何をしても絶対に叱られないんだ」という事も十分に計算した上で行動をしている。そう疑いました。
自身が障害者になって訓練校に通う事になってこの考えは確信に変わりました。自分は「障害者なのだから周囲が何でもやるのが当然の権利」とはっきりと口にする人があまりに多いのです。「全講義のうち●●日間だけ出席すれば修了証が出るのだから差し引いた日数は休まなければ損」と主張する人さえいました。そして此処でもよく聞かされた言葉が「見せて!」学校なら人のを写しても点数さえ得られれば目的は果たすのかもしれませんが、職業訓練の目的は技術を得る事ではないのですか?すべての依頼はお断りしました。「一番能力の低い者に合わせる」という方針に抗議したら「文句があるなら辞めていい」と言われました。強気だった学校関係者が私の反論にたじたじとなって洩らした所によるとそうしないと「障害者に過度の負担を強いた!」と言って抗議をして来る団体の方達がいる様です。学校職員は何人の障害者を取りあえず企業に押し込めたかで査定が変わって来るそうです。その技術がお粗末なモノで「次からは訓練校からは取らない」と言われたとしても「そこまでの責任を負う必要はない」と言います。解雇は勿論、職務上、当然の注意をしただけで団体職員が抗議に行ってくれるそうですから、そういう団体に守られた障害者は安泰です。団体は「障害者は能力に関係なく雇用するのが当然」と唱えていますが、その煽りを受けて真面目な障害者の就職は益々、困難を極めている様です。
母の入院している病院に行っても思う事があります。「何も出来ない老人の方が手を掛けて貰えるから、老人達は次第に自分で出来る事すらしなくなるのだ」前に紹介した一家心中の話『すきだよっていいたくて』の中にお母さんに口の周りをナプキンで拭って貰いたくてわざとケチャップが付く様な食べ方をする女の子が出て来ます。本を読みながら私が流した涙を嗤った母が家に戻って来ても甘やかすつもりはありません。
Y様の受け入れに対しては他の保護者からも反対の声が上がった様ですがそれを気にする感覚は本人は勿論、親にもない様でした。Y様は相変わらず、教室の王様でした。ある時、教室からY様が姿を消した事があります。Y様捜索の為に授業が潰れる事を願った層が仕組んだ事なのですが、Y様の後見役としての面目を失った後期は私がY様が馬になってくれと頼んだのを断ったと責任を求めて来ました。「教室にいて欲しくない人はいつまでもいなくなってくれないのに大事な子がいなくなって困るわね?」マリは頭を抱えていましたが、ただ責任を追及されるのが怖かったのでしょう?Y様に対して一欠片の愛情もない事は私に向かっての「はっきり言ってあげましょうか?あんたの頭ってY以下ね?」との発言を聞いても分かります。「Yを10分以内に見つけられなかったら罰を与える!」と脅かした苛め娘のEが事件の首謀者で、Y様を近所にある自分の家に匿っていた事も後になって知りました。
お買い物に行って顔を合わせた同級生の母親に言われた事があります。
「ただでさえ4組はお荷物のYがいるのに、マリ先生がいつもあんたにばかり関わっているから授業が進まないんですってね?本当に誰かさんのお蔭でいい迷惑だわ!」私の方が苛められているのは知っていたのに私が苛められている間は自分の娘は安泰だと思ったのでしょうか?
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生徒相手に大人気ないこと平気でするなんて・・・。
この劣等感ということに関しては、最近聞いた斎藤一人さんという方のCDの中に話があったのですが、思い起こせば僕が小学生時代のあの時のあの教師もそれに群がるクラスメートも実は劣等感の塊なのだなと理解しました。