「
臼ちゃん、此処はね、落書きボードじゃないんだからね?」黒板の上の方に悪口が書かれた時に纏足は私に向かって言いました。「女子でこの位置まで手が届く子は他にはいないよね?『李下に冠を正さず』って諺はこの間、教えたばかりだよね?」男には絶対に嫌われていないと考える人でした。そしてその言葉の使い方は正しくありません。私は誰が椅子の上に上履きのまま立って落書きをしたのか知っていましたが、その名前を上げませんでした。(大人になってからも仕事上のミスを押し付けられても、
仲間を庇って自己弁護は一切しない代わりに上司とは真摯に向き合いました。しかし私が
仲間だと思っていた人達は保身の為なら平気で責任転嫁をして、憚りませんでした。そういう人ほどチームワークという言葉を好みます。嗚呼!)「
君のお尻って臼みたいに大きいんだね?」私の体操着姿を見て纏足は歓声を上げました。「
女子プロレスラーみたいに太い足なのに運動音痴!」とも言われました。纏足は自身の言葉が余程、気に行ったらしく暫くは私を臼ちゃんと呼び続けました。黒板に白という字を書いて「こうやってやるとうまく書けるんだよ!」と真ん中を黒板消しで消して見せた事もあります。「先生がその呼び方を始めてから皆も真似をする様になった」「どうして本人が一番気にしている身体の特徴を笑いものにするのか?」真剣に話をしているのに纏足は「おう!NUEの山、怒りました!」「ロープ!ロープ!」等とふざけて私と正面から向き合おうとはしてくれませんでした。「この子は重量級だからね?先生の対戦相手とはなりません。Nさん、タッチ!タッチ!」纏足は本の軽い冗談のつもりだったのかもしれません。でもその後の休み時間に私は男子も見ている教室でNにプロレス技を掛けられました。そのままの苦しい体制でE子には全身を擽られました。纏足はあまりに幼く、天然過ぎました!
木下順二の「夕鶴」を授業でやった時です。「なんかダサイっていうか?暗い話だね?」私は予習の為に教科書を読んでいて涙を流しました。つうよりも与ひょうの気持ちが分かったからです。そして纏足はやはり言うだろうと思った通りの事を言いました。「こん中でこのつうという女の気持ちが分かる子なんていないよね?いるとしたら一番後ろの席にいる臼ちゃんくらいだよね?」教師の方で先に喧嘩を売って来たので私も応じました。「先生は、彼氏の数を誇っているけれど、物質的な物ばかりに囚われて、本当に人を愛した事はないのではないか?」「あーむかつく!君って本当にむかつく子だね?それじゃあ、先生もはっきり言うよ!君みたいにひねくれた子を好きになってくれる子なんて一生現れないよ!ただでさえそんなに大きいんだから!君の事を良いなんて言うのは精々Tだけ!君とTじゃあ生まれた子供もゴリラみたいにゴツゴツしているんだろうね?」確かにT先生は社会の教科書「第一章 人類のあけぼの」に出て来るアウストラロピテクスに似ていました。そして私は・・・私とT先生が一部で「大ゴリラ・小ゴリラ」と呼ばれているのも知っていました。勿論私の方が大です。纏足先生と再会したら自分の予言がやっぱり当たったと胸を張るでしょうか?若気の至りで酷い事を言ってしまったと首を竦める事はないと思います。いずれにしろ女子中学生の胸には突き刺さる言葉でした。
しかし纏足は自分の方が傷つけられたと思った様でした。その後で春の体育際の練習がありました。列からはみ出てふざけている女子を叱らず私に向かって言ったのです。「そこのお尻のオバケ!君がいると前が見えないよ!」それから私の臀部を拳で3回軽く叩きました。「臼ちゃんのお尻はぷよぷよだね?運動不足だからだよ!本ばっか読んでる理屈ぽい女の子は男子にも嫌われるよ!」
万物生 我も早く 召されたし
五月に降る雨を万物生(ばんぶつしょう)というそうです。「お母さん、どうして私をこんな身体に生んだの?身体の事でからかわれ続けて生きて行くくらいなら、早く死にたい!私は雨の中を傘も差さず、泣きながら歩きました。
庭の隅 墓から生える その花を
転生の君と 並んで眺む
中学の時、飼っていた犬が亡くなってしまったと中世君が嘆いていました。{犬を生めたお墓から生えて来た花を一緒に眺めたいから「犬を人間に生まれ変らせて欲しい」と神様にお祈りした。来世にて願いは叶い、犬は人間となれた。でも大それた望みを抱いた罰として自分は犬に集る蚤にしかなれなかった。貴方は気がついていないけど、一緒に花を見る夢は叶ったね?}というお話を作ってプレゼントしました。「何だか分からないけどお前って優しいんだな?」本人は喜んでくれましたが、「どれ、先生にも見せてごらん?」取り上げて読み出した纏足は吹き出しました。「君って(当時流行の女子プロレスラー)みたいに大きいのにこんな事を考えているの?面白いから皆にも聞かせて上げるね?」と朗読を始めました。クラスは大爆笑でした。「犬になったくらいまでなら許せるけど、蚤なんて発想が暗すぎるんだよ!」後期は休み時間に私に回し蹴りをして来ました。先生が見ていないと平気でそういう事の出来る人でした。
- http://takiji1933.blog34.fc2.com/tb.php/169-802bc6cc
0件のトラックバック
教師も人間とはいえ、あまりにも精神レベルが低すぎる。
努力でどうにもならんことを、責めたり揶揄したりすることがいかに卑劣で恥ずべき事かが何故わからんのだ?
まったく・・・情けなくなるよ。