『
怒りと誇りと』
<モラン刑事登場>4
ダム「一係じゃ全員を仇名で呼びあっているんすよ!あっし麗さんの仇名考えたんですけど・・
モランってのは、どうですか?」
麗「ムーミンの?」
ダム「さすが良く知ってますね?あっしこう見えても『ムーミン』の大フアンなんです!」
麗「私も大好きですよ。単行本は皆、持っていますよ!」
ダム「まじっすか?まさか一係にムーミンの話が出来る人が入って来るとは、思わなかったなあ!船村さんのスノークという仇名も実は、あっしがつけたんですよ!本人は、あんまり気に入ってくれなてないみたいですけど!」
麗「私は、とても嬉しいわ!」
スルー「あんた達何時までくだらない
漫画の話しているのよ?大体、
ムーミンなんてスヌーピーの真似じゃない!」(盲腸の数ある名台詞の中でも、もっとも面白いモノのひとつでした!笑・笑・笑)
麗「ムーミンには、
原作の小説が、ありますよ!」
スルー「そんなの
読む価値もないのよ!」
ダム「読んでないのに何でそんな事が分かるんですか?」
スルー「あたしは、
解説を読んだだけで感想文が、書けた女よ!」
麗「それって
恥かしい事じゃないんですか?」
スルー「あんた、その髪の毛と身体で良くそんな事が言えたわね?この子の仇名は
デカデカちゃん!
どうして皆で決めた事が守れないのよ?」
やーさん「そのモランって言うのは、どういうキャラなんだ?」
麗「
冷たい海に住む女の魔物です。でも
本当は凄い寂しがりやで・・」
スルー「
化け物ならあんたには、ぴったりだけど!」
ダム「でも本当のモランは
良い子なんです!」
麗「私、中学の時は、
苛められていて友達もいなくて自分の事を
モランだと思っていたのです!」
スルー「
デカデカちゃんなら苛められていたと言うのも友達がいなかったというのも分かるわね?なんか人を不愉快にさせる!そういう顔と態度だもん!」
他のメンバーはスルーが喋れば空気が悪くなる事を知っていたが、それにスルーだけは、気づいていなかった
それを取り成す様にダム「モランは
ルビーを大切に持っていたんですよ!」
スルー「
あたしの誕生石は、真珠だから関係ないもん!そうだ!あんた、あたしに真珠買いなよ!」 ダム「何であっしが、彼女でもない人にそんなモノ買ってあげないといけないのですか?」
スルー「
冗談じゃないわよ!あたし程の女が、あんたなんかの彼女に何かなる訳ないじゃない?」
ダム「そんなモン尚更買う訳ないじゃないすっか?」
スルー「何でよ?あたしは
女の子なんだよ!それじゃあ、やっちゃんに買って貰おうかな?」
やーさん「いや!俺は童話の話を聞きたいんだ!」
ダム「それでですね?モランは、その大事なルビーを盗まれちゃうんですよ!盗んだ、二人組は何と言いましたっけ?」
麗「トフスランとビフスラン」
ダム「そう!そうでした!それでムーミンから」
ダム・麗、声を合わせて「
さくらんぼを宝石に代える帽子を貰った!」
スルー「そんな事ある訳ないじゃもし出来るって言うなら、
あたしに宝石でも買いなよ!」
やーさん「面白そうな話だな?俺も那須正幹や森忠明なら好きなんだけど、外国の話はまだだな!今度読んでみようかな?」
麗「ムーミン、お貸ししましょうか?それに森忠明を知っているんですか?私、お手紙を書いた事があるんですよ!」
やーさん「本当か?こいつは、良いな!」
スルー「那須せいみきなんて『ずっこけ三人組』
しか書いていないじゃん!それと森忠明なんて作家はいないよ!」(注・これも盲腸の大得意な台詞でした!)
やーさん「それは、あんたがそれしか知らないって事だろ?そう言えば、『
六年目のクラス会』の話をしていたよな?俺もあの本は、読んだけど登場人物の名前までは憶えていなかったな?鈴木・・」
スルー「『ずっこけ三人組』なんてくだらない!」
やーさん「一々、話の腰を折らないでくれよ!鈴木邦夫だっけ?その子って・・」
スルー「先から言おう!言おうと思っていたんだけど!あんたどうして、一人でお皿を
抱えて食べているのよ?
本当に行儀が悪いわね?」
ダム「良いじゃないですか?これはモランちゃんが、頼んだおつまみなんですから!先、やーさんも、皆が其々好きなモノを食べれば良いと言ったじゃないすか?なんか先輩の言っている事って
小姑の嫌がらせみたいですよ!」
スルー「誰か一人でも
不愉快になる事はやっては、いけないの!
そういう事を教えてくれるご両親もいなかったなんていい訳は、社会に出たら通用しないのよ!」
やーさん「はっきり言うけどなあ!あんた先からもの凄く
不愉快だぞ!」
スルー「あたしは、
可愛いから良いでしょう?」
麗「ごめんなさい!私、
どうしても大きいお皿からモノが食べられないのです!」
やーさん「別に、皆一係の仲間だから気にする事ないんだぞ!一人だけ
異分子が、混ざっているけどな!」
スルー「
ほら!やっちゃんだってああ言ってるじゃない!悪い習慣は、早く直しなさい!」
麗「お姉ちゃんは、自分の好きなおかずでも、自分は食べないでも私にくれました!でも一人になってからは、伯母さんの家に引き取られました。
『お前は、そんなに大きいんだから!』って御飯もあまり食べさせて貰えませんでした!伯母さんの機嫌の良い時は、お鍋にも雑ぜて貰えるし、大きなお皿から、お料理を突く事も許されました!私は、そういう時には
肉を取らずに野菜を取る様に努力していました!」
スルー「そういうのは、努力とは言わないの!
たくさん肉を食べられる様に何故、努力をしないの?」
ダム「モランちゃん 気にしないで続けて下さいよ!」
麗「でもそれでも、後で言われました!『
お前は、肉ばかり食っていた!やっぱり親のない子は
卑しい!がつがつしている!』」
スルー「
伯母さんはあんたを躾てくれたんでしょう?あたしなら感謝するけどね!やっぱり親がいないと捻くれるのね?」
やーさん「麗ちゃん!続けて!」
麗「御飯やおかずが余ると『
食べちゃいなよ!』伯母さんは言いました!でも全部、食べると必ず言われました!
やっぱり親のない子は卑しいって!」
ダム「
分かりますよ!あっしも実は他所の家に預けられてた事が、ありますから!」
麗「警察学校の寮に入ってからも、賄いの料理が余ったりすると必ず『
食べちゃいなよ!』という人がいました!理由を聞くと『
勿体無いから!』『何故、自分は食べないの?』『
あたしは、もうお腹が一杯だから!』『私も同じ!お腹が一杯!』『
良いから食べちゃいなよ!』どうして?どうしてその役目を私にだけ押し付けるの?そんなに、私の事を親のない子だから『
卑しくてがつがつしている!』と
笑い者にしたいの?
食べ物を大切にする良い子を演じたいのなら
自分が、吐いてまで食べるべきじゃないんですか?」
麗は、泣いていた!
やーさん「何だか、俺まで泣けて来たよ!俺は苦労知らずに育って来た事が、恥かしくなって来たよ!警察学校の子達は
別に悪気が、あって言ったのではないだろうけどな?」
麗「そうでもないみたいですよ!後で伯母さんと同じ台詞を必ず言いましたから、『
親のいない子は卑しい!』『
あんな子が何故、警察に入っているんだ!こっちまで恥かしくなる!』」
ダムも泣いていた。「うちの寮にもそういう余計な事を言う奴はいましたよ!」
やーさん「麗ちゃんは、色々と苦労しているんだね?」
スルー「
何処が?ただ甘えているだけじゃん!外国には、御飯を食べられない子だっているんだよ!そんな子から、みれば
まだまだ甘い!」
やーさん「あのなあ、少し黙っていられないか?」
ダム「あんた
学校の先生ですか?
不幸の比較なんて出来るんですか?」
麗「
私は、別に外国の子供と較べて自分の方が幸せだとは思いません!」
スルー「
あたしは、あんた達とは違ってちゃんとした家に育ったからね!あんた達もそういう家に生まれてくれば良かったじゃん!ねえ、何でこの皿余らせているのよ?
デカデカ!デカイんだから
食べちゃいなよ!」
やーさん「あのなあ?お前、先から何聞いてんだ?」
スルー「だって
勿体ないじゃん!」
ダム「先輩は、何で食わないんすっか?」
スルー「あたしは、もう
お腹一杯だもん!さあ、早く!デカイんだから食べちゃい
なよ!」
麗「私もお腹一杯です!」
スルー「
良いから食べちゃいなよ!」
麗「先輩!私に
喧嘩を売っているんですか?」
スルー「何がよ?あんた今、日本に生まれてこうやって居酒屋で飲める事に感謝しなくちゃ駄目だよ!
外国ではねえ?」
麗「私、別に
外国の子供の事なんてどうでも良いんです!
彼だってその国に生まれて来なければ良かっただけの事でしょう?」
スルー「あんた!いい加減にしないとぶつよ!
生まれて来る国や家が、自分で選べるとでも思っているの?そういう国の子達に少しは
想像力を持ちなよ!」(人権派との会話は、まさにこんな感じです!)
やーさん、(「処置なしだ!」という顔をして)両手を広げる!
「飲み直そうか?」麗に渡そうとしたメニューを引っ手繰るスルー「あたしわねえ〜」
ダム「
先輩!お腹が一杯じゃなかったんすか?」
スルー「
一々、人の食うもんまで口出してくるんじゃねえよ!」
ダム、気を取り直して「そうだ!あっしらで
ズッコケ三人組を作りましょうか?」
スルー「
やりたかったらお前とデカデカだけで勝手にやりな!やっちゃんまで巻き込むんじゃねえよ!」
ダム「
お前とは、話してねえ!」
やーさん「先から『
お前は黙っていろ!』と言っているだろう?楽しそうだな?
俺も入るぞ!ズッコケ三人組!」
(注・
自分こそ関係ないのに、こういう口の出し方は人権派の得意とする所です!私もダムの様に何度、怒鳴りつけた事でしょう?しかしやーさんの様な台詞を言ってくれる人は、皆無でした!)
ダム「おっ!来た!来た!
軍艦巻き!あっしは、これが大好きなんですよ!」
スルー「
あんた小学生?そんなガキみたいなモン注文して恥かしいと思わない?」
ダム「先、あんた!人が何、注文しようと自由って言いませんでしたか?」
スルー「こっちまで恥かしい思いをするから言ってるの!」
やーさん「上手そうだな?」
ダム「やーさんもひとつ食べますか?モランちゃん!前を失礼!」
スルー「
箸と箸!お葬式!」
やーさん「
一々、人のやる事に口を挟むな!」
やーさん「皆も俺の兄貴が誰かは、知っているよな?近所の人によく言われたよ!
『岩田さんのお宅は、本当に良いわね?お兄ちゃんは秀才だし、修二君はとても元気だし!』
つまりは、俺には、『他に取り得がない!』って事らしいんだ!
確かに兄貴は俺何かと違ってすごく頭の良い人だったんだろう!
でもそれは、世渡りの上手さであって所謂秀才とは、違うと思うんだ!
俺は兄貴が、家で勉強をしているのを見た事がないんだ!それで何故、好成績を取る事が出来たか?
その理由をある日俺は知った!兄貴の同級生に待ち伏せされて俺は殴る!蹴る!の暴行を受けたんだ!十も上の奴ら数人相手に手も足も出なかったよ!そしてそいつらは、言った!
『怨むんだったら兄貴を怨むんだな!』
そいつらが、教えてくれたよ!兄貴の成績は、皆人から盗んだモノだって!
皆のクラスにもいなかったか?自分は宿題をやって来ないのに、宿題を『見せて!』って寄って来る奴って!」
スルー「あたしも人の宿題を写したけど、あたしの方が成績が良かったよ!字が、綺麗なんだから当たり前じゃん!」
ダム・麗、スルーを睨みつける!
やーさん「そのくらいの子なら、何処のクラスにもいるだろう?兄貴が、卑怯なのは、それからだ!その後で先生の所に行って言うのだそうだ!
『××君が、何時も何時も僕の宿題を見せてくれと言いに来て困っています!』」
スルー「あっ!それならあたしもやった!あたしは、日頃の行いが良いから、宿題をやって来た子が、疑われて!叱られている姿を見ると可笑しくて!」
やーさん「次第に兄貴に宿題を見せてくれる奴は、いなくなった!そこで兄貴が、思いついたのは、同級生の弱みを握って脅迫する事だった!宿題を見せないとあの事をばらすぞ!」
スルー「あたしも宿題を見せない子をイジメに掛けたりしたけどね!」
やーさん「俺は兄貴の同級生の悔しさが、分かったから無抵抗だったよ!兄貴が、俺の事なんて何とも思っていない事が分かっているからそいつらも安心して殴ったり、蹴ったり出来たんだろう?俺は、誓った!兄貴の様な卑怯な真似だけは、絶対にしない!」
スルー「何で?やっちゃんもお兄さんと同じ事をすれば良かったじゃん!」
やーさん「俺は兄貴に負けない様に一所懸命に勉強したさ!でも元々の頭が悪いのか、成績は下の方から数えた方が、早かったよ!『お兄ちゃんは、あんなに成績が、良かったのに、どうしてお前は〜』周囲からは、散々、言われたけど、俺は誇りだけは、失わなかったつもりだ!
それともう一つ分からない事があった!友達の弱みを掴んだりしている暇があったら何故兄貴は勉強しなかったんだろう?兄貴ほどの頭の良さがあれば、ちゃんと勉強すれば好成績を収められたのに!」
スルー「やっちゃんの言う事、全然分からない!何でそれが、誇りになるの?成績が良ければそれで良いじゃん!」
やーさん「親父もおふくろも兄貴の事ばかり可愛がったんだけど、祖母ちゃんだけは、俺の事を可愛がってくれたんだ!いくら勉強しても成績が、上がらなかった俺は、次第にぐれて道を踏み外して行った!そんな俺の事を、祖母ちゃんは心配してくれた。でも強がっていた俺は、祖母ちゃんが入院してもお見舞いにも行かなかった!祖母ちゃんが、危篤だと言われた時にも俺は、バイクを走らせていた!不孝者!恩知らず!と笑ってくれ!でもそうしないと俺は、俺は・・・」
スルー「嫌だ!やっちゃん!泣いてるの?」
やーさん「結局、祖母ちゃんの死に目にも俺は会えなかったんだ!」
ダム「お祖母さんは、やーさんの気持ちをきっと分かってくれますよ!」
スルー「あたしには、全然分からない!」
やーさん「その頃、兄貴はもう警察に入りエリートコースを歩んでいた。葬式の時に兄貴に言われたさ!『お前、そんな髪形なら葬式にも出なくていいぞ!今日は俺の仕事の関係者もたくさん来るんだからな!お前の様な出来の悪い弟がいると分かったら俺の出世にも響くんだ!少しは考えろよ!』
俺は、兄貴を殴ろうと思ったけど、祖母ちゃんのお別れの日だからと言い聞かせて我慢した。」
スルー「ねえ、もっと楽しい話しない?」
やーさん「祖母ちゃんの骨を拾っている時にお袋が俺の傍まで来て言ったんだ!
『修二!あんた外見がそんななんだから、もっとたくさん骨を拾って、健気な弟を演じなさい!その方がお兄ちゃんの印象も良くなるから!』
その時にお袋は笑顔まで浮かべていたんだ!お袋に取って祖母ちゃんは姑だから色々、あったのは、知っている!でもお袋はそんな時にも兄貴の事しか考えていなかったんだ!だから俺はお袋の顔に向かって祖母ちゃんの遺骨を投げつけたんだ!」
スルー「やっちゃんの事を少し見損なったよ!お祖母ちゃんには、何の罪もないじゃん!しかも、やっちゃんを可愛がってくれた人でしょう?」
ダム「あっしには何だか上手く言えないけど、やーさんの気持ちが分かる気がしますよ!」
やーさん「有り難う!俺はそれからますますぐれて行った!でも俺には偉そうに言う資格はないな!結局、何処にも就職出来ず、兄貴のコネで警察に入らせて貰ったんだからな!」
麗「やーさん!私、歌を作ったんですけど聞いてくれますか?
悲しみに 潰されそうな 耳元で
身を汚さずに 指示をする人
やーさん「有り難う!何だか俺の気持ちを代弁してくれた様だよ!」
ダム「あっしも歌の事は、良く分からないけど何か良いっすね?」
スルー「駄目!全然駄目!才能の欠片も感じられない!まったく感動が伝わって来ないのよね?」
(続く)
会話をひたすらぶった斬って空気を凍りつかせる盲腸には、いつまでたっても慣れるということが無さそうです。なんてウゼえ奴・・。
>ムーミンなんてスヌーピーの真似じゃない
・・・どこが似ているのでしょうか・・?アニメというところが?
>那須せいみき
日本語の不自由な方って、本当に存在するんですね。
>良いから食べちゃいなよ!
以前は気にならなかったのですが、ウチの親もこんな感じの事を言います。もう腹が一杯だから箸を置いているのに。自分が食え!今ならそう思います。
>あんた達もそういう家に生まれてくれば良かったじゃん
>生まれて来る国や家が、自分で選べるとでも思っているの?
・・・・痛いよう・・・
>やーさん
なんだか格好良い話になっていて、むずむずしますが、ありがとうございます。遺骨の話だけではなくて、苛めの大事なエピソードまでまわしてもらって・・。
実は後日談があって、母親は、親を亡くした自分が一番悲しくて、一番可哀そうなんだと思っていたそうです。さすが、他人の気持ちなんかこれっぽっちも考えようとしない奴だけのことはあります。人前で泣きたくなかったから、隠れて泣いていたのに。だから、「どうせお前は悲しくないんだろ?だからいい加減な事をしてるんだろ?」と思われていたんでしょうね。あの目は一生忘れません。