「
乳バンドをしている女は、出て行け!」
振り向いて私を見なかったのは、ポケット、S恵さん、Pちゃん、もう一人Sugarさんと言う子だけでした。
「
お前は、本当に鈍臭せえな?」
数子がPちゃんの顔を押さえて振り向かせました。
「
乳バンドをしている女は、出て行け!」
老人は、同じ言葉を繰り返しました。
豌豆「
ブラ子!お前しかいないだろう?」
首子「
本当に感受性が、鈍いわね?」
「
赤毛!お前に言っているんだよ!お前に!」
老人は、黒板消しを投げたけど私の席までは、届きませんでした。
大き過ぎる私の席は、一番後ろと決まっていました。
席替えの籤引きに参加する事すら許されていなかったけど、
「
どうせ籤には、不正が行われているのだから良いや!」
5年になって後ろ向きに座らされるまでは、自分に言い聞かせていました。
「
お祖父ちゃんが、言っているの?
聞こえないのかよ?」
I子は、黒板消しを拾うとケンちゃんに渡しました。
「
売女!覚悟!」
「
ストライク!」
「
ケンちゃん!プロ野球選手になれるね?」
顔面を直撃した黒板消しを見て
女の子達からは、歓声が、上がりました。
しかし私は、彼が、教室のほぼ中央の席からさらに
前に進むのを見逃しませんでした。
私は、自分の席からさらに
後ろの壁に下り黒板消しを投げました。
黒板消しは、教卓の上の天井に当たり、老人の足元に転がりました。
老人の顔から血の毛が、引いて行きました。
首子「
お年寄りが、怪我をしたらどうするのよ?
それに◎西さんは、昔は、先生をなさっていた立派な方なのよ!」
その事は、知っていました。
I子「
お祖父ちゃんに謝れ!」
彼女が、老人の孫娘である事も知っていました。
「
お怪我は、ありませんでしたか?」
首子は、
ついてもいないチョークの粉を払いました。
「
お祖父ちゃん!大丈夫?」
孫娘が、老人の手を握り締めました。
「
おい!パン助!お前!●井の所の娘だってな?
お前の家系は、やくざモノばっかりだな?」
首子「
お父さんは、何の罪もない障害者に大怪我をさせて刑務所に入っていた事もあるんです!
ブラ子の中には、そういう乱暴者の血が、流れているのです!」
「
通りでな?
で、その真っ赤っかな髪の毛は、そのキ◎ガ◎親父譲りか?
クズ揃いの●井家でもお前の様な化け物は、さすがに見た事ないからな?
だいたいな!そのお●●いなんとかならないのか? 子供なら子供らしくしろ!」
クラス中から笑いが、起りました。
「
お前も笑うんだよ!」
笑わなかったPちゃんの椅子を数子が、蹴りました!
「
馬鹿が、二人か?
そこの黒いの?お前は、何故笑わない?」
老人は、S恵さんを指差しました。
「
笑う理由が、ないからです」
「
お前!確かガマ口の孫だってな?
お前の祖父さんは、本当に恥知らずだな?」
「
あたしは、祖父を尊敬しています!」
首子「
それは、ガマ口の考えでしょう?」
「
バーカー!バーカ!」
I子もまた大◎さんからお金を騙し盗っていました。
「
こんな人でも貴女に取っては、大事なお祖父さんなんでしょう?
それならあたしが、祖父を尊敬しても良いでしょう?」
首子「
全然、別の二つの事を一緒にしないでよ!」
「
レベルが、低くて話す気にもなれないな!
チビ!お前は、何故笑わない?」
ポケット「
ハハハ!ちゃんちゃら可笑しいや!
て、言うか?あんた誰?」
首子「
◎西の小父さんは、3組の事を心配して駆けつけて来て下さったのよ?」
ポケット「
また君のお知り合い?
それじゃあ今度も〜」
「
なるほどなあ、このクラスの癌は、赤と黒とチビか?
今まで3人もの先生が、皆このクラスを見限った理由が、分かったよ!」
皆、尻尾を巻いて逃げ出したのでは、ないですか?
「
但し、俺が来た以上は、そんな我儘は、許さないぞ!
赤!黒!チビ!
教室から出て行け!」
S恵さん「
その必要は、ありません!」
「
貴方に命令する権利は、ありません!」
ポケット「
爺さん!あんたが、出て行ったら?」
老人の顔が、真っ赤になりました。
「
な、な、何?
お、お、お前ら、お、俺にで、で出て行けというのか?」
I子「
お祖父ちゃんは、心臓が悪いのよ?
何かあったら責任が、取れるの?」
首子「
◎西の小父さんに謝りなさいよ!」
「
お前らが、出て行け!」
老人は、杖を投げつけましたが、一番前のポケットにさえ届けさせる事が出来ませんでした。
もっと軽い黒板消しですら届けさせる事が出来なかったのにまだ懲りていないのですか?
それに
杖を投げてしまって歩けるのですか? 首子「
それじゃあ、こうしましょう?
ハミダシ者の3人が、教室を出て行く事に反対の人はいないわね?」
PちゃんとSugarさんだけが、手を上げ掛けたけど数子が、制しました。
「
これが、クラスの総意よ!
早く教室を出て行きなさいよ!」
首子が、扉を指差すとクラス中から拍手が、起りました。
ポケット「
こんな茶番に付き合ってられないよ!
twoちゃん!Wさん!行こう!」
S恵さん「
どうせ この人もまたちゃんと授業をやってくれそうもないし自習の方が、良いわ!
お望み通り出て行って上げましょう!」
四人は、教室を飛び出しました。
校庭で自習をしていると校長が、話し掛けて来ました。
「
また君達か?4年3組の担任が、3人も変わった事でボクの査定は、ますます低くなっているのにこれ以上、問題を起こさないでくれよ!
大体、ボクは、◎西の爺さんが、しゃしゃり出て来る事には、反対だったんだよ!
元訓導か何か知らないけど先輩面して出しゃばって来やがって!
あんな奴!何の権限もないのにエラそうに!〜」
S恵さん「
こんな所であたし達相手にそんな事を言っていたって仕様がないじゃないですか?」
「
それは、そうだけど〜」
ポケット「
あのお祖父さんに直接言えば良いじゃないですか?」
「
いやあ、それは、ボクは〜」
この人は、何時もこうでした。
「兄ちゃんが、戦死さえしなきゃお母さんは、お嫁に行っていて、お祖母ちゃんの面倒を押し付けられる事もなかったのに!
あんなロクデナシと結婚さえしなければお前みたいな片○の生まれ損ないも出来なかったんだよ!」
たけの口癖でした。
「女の子が、一人しかいないから甘やかして育てた結果、たけは、あんなになっちゃったんだよ!
皆、お祖母ちゃんが、悪いんだよ!
ゴメンね!」
祖母は、何時も申して居りました。
たけは、自分の親の面倒も途中で投げ出してしまいましたが、愛しても貰えなかった私は、たけの面倒を最後まで見ました。
「 (Tバード)さんは、どうしょうもない人だったけど、あの人が、たけと結婚してくれて良かったと思っているよ・・・
だって そのお蔭でH美と●美が、生まれたんだから!」
祖母にも「エルネスは、誰が父親でやはりエルネスである!」と言う事は、分かった様です。
たけと違い、人の悪口は、嫌いな祖母が、どうしても許せないと繰り返し上げた名が、ありました。
伯父は、花と生き物を愛し、本が好きだったそうです。
それを訓導は、「女の腐った様な男!」「非国民!」「国賊!」と罵りました。
どうして花や生き物を愛する事がいけないの?
「やくざの息子が、本なんか読んでどうする? どうせお前じゃ上の学校にも行けないんだろう?」
その訓導は、本が、嫌いだったそうです。
「それにしてもお前のウチは、やくざとチンピラばかりだな?
一人くらい国の為に役に立って見ろ!」
訓導に言われて伯父は、軍隊に志願しました。
兄達と違い、喧嘩も嫌いで人に殴られても殴り返すくらいなら自分が、殴られていた方が、良いと言う程に心根が、優しい人だったと言うのに!
「●美は(伯父)の血も引いているんだね?」
祖母に繰り返し言われていた事も気に掛かっていました。
伯父は、わずか19歳で亡くなりました。
下等君も祖母からその話は、聞かされていました。
伯父の乗っていた船が、沈んだという海に行って酒と煙草とエロ本を投げてくれたのは、19歳の時でした。
「俺みたいなロクデナシが、生きているのにあんたは、何の良い思いもしないで死んだのか?
神様は、不公平だな!」
と言いながら。
それからさほどの年月を経ずに下等君も亡くなりました。
その訓導は、戦後、平和運動を始めました。
彼が、戦場に送ったのは、伯父だけでは、ありませんからその家族に詰め寄られた事も何度かあるそうです。
「俺だって命令されただけなんだから何の責任も感じる必要は、ないんだよ!」
「俺が、言わなくても他の訓導の誰かが、言ってたかもしれないだろう?
あの頃は、そういう時代だったんだよ!」
「それにしても俺に言われたくらいでノコノコ戦場に出て行くなんてお前の息子もモノを考えない人間だな?
そんな奴は、早晩何処かで犬死していたんだよ!」
こんな人を先生と讃え拍手する人が、いるのですね?
多くの若者を死に追いやったのに彼は老人になるまで生き残りました。
そして4年3組の教室に立っていました。
老人は、ケンちゃんをケン坊、首子をみっちゃんと呼びました。
それぞれの両親と面識が、あるそうです。
そして自分の孫の事もIちゃんと呼びました。
「自分のお知りあいにだけで敬称を付けるのは、可笑しいんじゃないんですか?」
ケン「別に俺は、お前だって何だって良いんだぜ!」
首子「じゃあ、お前らも◎西さんのお知り合いに生まれて来れば良かっただろ?」
I子「バーカ!バーカ!
お前らには、それだけの価値しかないんだよ!」
しかしやはり他の子の親から苦情が出たそうです。
「わ、分かった!その代わり、赤と黒とチビと、メガネザルと、もう一人貧乏くさい小娘が、いただろう?
あれだけは、お前と呼ばせろ!
俺は、此処まで折れてやっているんだぞ!」
「自分の子供さえ、良ければ良い!」
大抵の親は、思う様です。
「戦争が終わるとすぐに亜米利加兵の腕にぶらさがって歩くパンパンが、いたんだ!
その結果、生まれたのが、あの赤毛だ!
お前なんて身体ばかり成長した盛りのついたメス犬だ!」
クラスには、歓声と拍手が、置きました。
このクラスの女子なんて身体は、子供でももう男にオネダリをする事を憶えていますね?
「お爺さんも戦争が終わった途端に掌を返した様に平和主義者になりましたね?」
「おい!誰か?(校長の名)を呼んで来い!」
老人は、喚きちらしました。
おっとり刀で駆けつけて来た校長は、私に向かって言いました。
「仲良くしてくれなきゃ駄目じゃないな?
◎西さんは、一旦、機嫌を損ねたら取戻すのが、大変なんだから!」
「私だって皆の様にちゃんと呼んで欲しいです!」
訴えると校長は、言いました。
「そんな大きなお●●いをして子供みたいな事を言っては、ボクを困らせないでくれよ!
だいたいね、ボクだってお前とか呼び捨てでないと呼んで貰えないんだよ!」
3年生で亡くなったK君は、「男の癖に」花が、好きでした。
「K君と一緒に卒業出来るその日までK君の大切にしていた花壇に冬でも花を絶やさない様にしよう!」
ポケットと約束しました。
「K君も お祖父ちゃんを騙したりしない良い子だったもんね?」
S恵さんも協力してくれました。
その花壇に自転車を乗り入れたのが、I子でした。
「ブラ子!自分が、チャリに乗れないんでひがんでいるんじゃねえよ!」
「世の中、花を好きな人ばかりじゃないのよ?
どうして人其々と言う考え方が、出来ないの?」
首子は、やはりエルネスにそっくりでした。
「校庭に自転車を乗り入れるのは、禁止だったよね?」
「4年生でブラをするのも禁止だったよね?」
「生◎が、始っているのも禁止!」
S恵さん「あんた達!他に言う事が、ないの?」
「じゃあ、ガマ口が、自転車会社に文句を言えば良いじゃない?」
首子は、勝利の微笑みを浮かべていました。
(あたしは、何て頭が、良いんだろう?)
実際に彼女は、何度も口にしていました。
「ブラ子が、花を育てる権利が、あると主張するならあたし達にもその花を毟る権利があるのよ!
さあ、皆、やっておしまいなさい!
あたしが、許可するわ!」
首子は、花壇を指差しました。
「ふざけるんじゃねえよ!」
私は、花壇に向かって走り出した自転車を女の子達が、乗ったまま倒して歩きました。
「●美ちゃん!凄い!」
S恵さんが、歓声をあげました。
「もう、頭に来た!
お祖父ちゃん呼んで来るからね!」
I子とその仲間達は、校舎の中に入って行きました。
「I子ちゃんを苛めるな〜!」
老人が、杖を振り回しながら出て来ました。
「このパンパン女!お前は、●小の恥!
嫌!町の恥だ!」
女の子の間からは、拍手が起りました。
(続く)
付録 ●井家の系図
♂ 孫(◎◎)
♂ 妻の姪が、組子の母
♂
♂ やくざ(出入りで死す)
♂ 現存の伯父
♂ 戦死
たけ
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やっぱり戦争の影響が大きかった場所というのは、歪んでいるのかもしれません。
>「赤毛!お前に言っているんだよ!お前に!」
偉そうに・・何様のつもりなんだろう?
>それに◎西さんは、昔は、先生をなさっていた立派な方なのよ!
こんな教師の何が立派だか?
アホらし。
>首子は、ついてもいないチョークの粉を払いました。
こんな茶番劇は日常茶飯事ですか?
>おい!パン助!お前!●井の所の娘だってな?
いい歳したジジイが小学生相手に、この汚い台詞。
くだらん人間ですね。
>お前の祖父さんは、本当に恥知らずだな?
どっちが恥知らずだか?
>「全然、別の二つの事を一緒にしないでよ!」
は?
それは何を言っているのか理解できないって事かい?
>3組の事を心配して駆けつけて来て下さったのよ?
威張りに来ただけじゃないの?
>今まで3人もの先生が、皆このクラスを見限った理由が、分かったよ!
痴呆症か?
>俺が来た以上は、そんな我儘は、許さないぞ!
教師の我儘が問題だったんだろうが。
こいつ頭おかしいんじゃない?
>それに杖を投げてしまって歩けるのですか?
後先考える頭があったら、もうちょいマシな人間になっていたでしょうね?
>こんな茶番に付き合ってられないよ!
同感です。
>これ以上、問題を起こさないでくれよ!
出て行けと言ったジジイに言えよ。
>「あのお祖父さんに直接言えば良いじゃないですか?」
そうそう。
被害者の小学生相手に愚痴って・・何を考えてんだか?
能無しにも程がある。
>その訓導は、本が、嫌いだったそうです。
自分が嫌いだから価値が無い・・か。
ロクでもない奴ですね。
>俺が、言わなくても他の訓導の誰かが、言ってたかもしれないだろう?
可能性の話をしてんじゃなくて、このジジイが人を殺したって話です。
何を責任逃れしようとしてんだか。
>それにしても俺に言われたくらいでノコノコ戦場に出て行くなんてお前の息子もモノを考えない人間だな?
クズ野郎が・・詫びの一つも言えんのか?
>そして4年3組の教室に立っていました。
亡くなった人達の、仇をとってくれっていう願いか・・・
>バーカ!バーカ!
他に言う事は?
>あれだけは、お前と呼ばせろ!
>俺は、此処まで折れてやっているんだぞ!
は?
何故そこまで「お前」に拘るかな?
いや〜・・普通にブチ◎したくなりますね。
>その結果、生まれたのが、あの赤毛だ!
親を知ってんだろうが?
面白くも無い作り話をほざいてんなよ。
>◎西さんは、一旦、機嫌を損ねたら取戻すのが、大変なんだから!
校長と元訓導のオイボレとどっちが偉いんでしょうね?
ふんぞり返れとは言わんけど、これではあまりにも情け無い。
>そんな大きなお●●いをして子供みたいな事を言っては、ボクを困らせないでくれよ!
歳を考えろよ歳を。
>その花壇に自転車を乗り入れたのが、I子でした。
とことん荒んだ町ですね・・。
>じゃあ、ガマ口が、自転車会社に文句を言えば良いじゃない?
何故?
乗ってる奴が悪いに決まってんだろうが!
こいつらの存在は精神衛生上良くないな・・。
>あたし達にもその花を毟る権利があるのよ!
あるかボケ!
>「I子ちゃんを苛めるな〜!」
こんなのが元教師ですからね。
・・・って事は、このジジイが若かった頃から、その町は腐ってたって事か・・。
>嫌!町の恥だ!
お前が言うな!
悲しい事が次々と起こるのは鵺娘さんが悪いのではなく、この腐った町が悪いと断言しても良いと思います。
マトモじゃない町では、マトモな人ほど踏みつけられる運命にあるのでは?
鵺娘さんの周りにはマトモな人が集まっていたから、結果的に周りに不幸が多かった・・と。
いっそ町に合わせて狂ってしまえば助かったんでしょうけど・・。