クリスマスやお正月のある冬休みは夏休み以上に辛い季節でした。
二学期の終業式の日でした。担任の纏足はある特別教室の大掃除をする希望者を募りました。そんな殊勝な方がいるはずがありません。
「君達だらしないぞ!皆が使う教室なんだぞ!」
担任の機嫌を損ねない様に後期学級委員が「背が大きいから高い所に手が届く」と私を推薦して下さいました。
私は中学1年とはいえ、勉強とクラブと遊びだけをやっていればいい他のお子さんとは立場が違い、家事があるとの事情を申し上げました。
「それは貴女の都合でしょう?」と私に言う一方で後期は「自分も協力したいのだが、塾があって参加出来ない」と担任に謝りました。
さすがは役者です。
「家族で旅行に行く」「パーテイがある」「白魚の様な指だから」
皆の理由は認められました。結局、残ってくれたのは中世君という男子だけでした。中世君は16世紀の人なみの知識と頭脳しかないと言われていました。
週番が黒板を消し忘れると纏足はあてつけでその上から板書を始めます。そんな時、真っ先に飛び出して行くのは後期です。
中世君は纏足と同じ様に前の授業で取ったノートの上に黒板の文字を写して行くのです。
これより後の事ですが、修学旅行で奈良に行った時はお小遣い全部を鹿に食べさてしまいました。山羊との区別がつかなかったのだそうです。
T先生は「どうせチョンガーだから用事もない」と協力してくれました。纏足は腕くみをして見ているだけです。
「彼氏の所に早く行って上げた方がいいんじゃありませんか?」
私が言うと「口はいいから手を動かして!」とお叱りを受けました。
その癖、自分は「雑巾の絞り方が甘い」とか「箒の使い方でその人の性格が分かる」とか一人で喋っています。
「君達だけでは心配で帰るに帰れない」とも言っていました。
私と中世君だけならまだしも同僚であるT先生に対して失礼ではないでしょうか?
「ちゃんと外側の窓も拭かなきゃ駄目だよ!」
纏足が校庭に回ったので、私は雑巾を絞った水を窓の外に向かって投げ捨てました。
濡れ鼠になった纏足は叫びました。
「何処に目をつけてんのよ!
大きいだけでトロイわね!」
「すみません!あんまり小さいから見えませんでした!」
纏足は147cmくらいしかありませんでした。
纏足が「デートの時間に遅れる」と帰った後、T先生がジュースを奢ってくれました。
「鵺、さっきワザとやっただろう?」
T先生にも分かった様でした。
「ただ、ああいう行動に出る場合はそれなりのリスクを負わなければならない事も忘れるなよ。」
中世君は終始ニコニコ笑っているだけでした。
後になって纏足が当時すでに妊娠中であった事を知りました。
でも私はまったく反省をしていません。
新学期になると私と中世君の名前が相合傘に書かれていました。
私に肩車された中世君が窓硝子を拭いてるイラストには
「デカ女とチビ男 ノミの夫婦」との言葉が添えられていました。
「いいなあ。自分達だけジュースを奢って貰って!」
ある女子には言われました。
「皆にもジュースを奢らないと不公平だ」という要求にT先生は
「お前ら本当に卑しいな?鵺と中世だけが手伝いをしたから奢ってやったんだ。こんな落書きをするという事は見てた奴がいるんだろう?
そいつらは何故、手伝わなかったんだ?」
とはっきり言って下さいました。
- http://takiji1933.blog34.fc2.com/tb.php/85-34e7f667
0件のトラックバック
手伝わんでいいけん、邪魔にならんごつどっか行け!と言いたくなるのですが、小心者の私は言えない・・・
いやいや、水をぶっかけたとは、よほど頭にきたのですね。